昨年、父親が病院で臨終を迎えました。
今まで何度か葬儀に参列すること(参列側)はありましたが、葬儀を執り行うこと(喪家側)は、今回が初めてでした。
通夜や葬儀に関してのマナーや知識のマニュアルは、ネットや書籍などにも掲載されていますが、故人を見送る最初の段取りは、通夜や葬儀ではなく、亡くなった先(病院等)から自宅へ迎え入れる時から始まります。
知識もなく、何の準備もしていなかったために、父を自宅に迎え入れる際にバタバタの大慌てだった苦い経験から、亡くなった方を自宅に迎え入れる際、必要なもの、必要なことを詳しくお伝えします。
喪家が迎え入れる自宅に用意しておくと良い物
父は入院生活をしていました。
体調が悪化し余命2週間と宣告され、病室に家族が付き添う生活が始まりました。
父は病気と闘い、2週間以上頑張って生きてくれていました。
どこか、父の様子からもまだ頑張れる、生きてくれるという思いがあり、父の死が目前に来ているという感覚が薄れていました。
そして、私は余命宣告された日数を超えてくれたという安心や油断からか、最期の時の準備ができていませんでした。
しかし、人の死は突然訪れます。
父は、容態が急変し亡くなりました。
亡くなるとすぐに看護師さんから、葬儀会社の手配は大丈夫かと聞かれます。
すでに葬儀社は決めていましたので、そのまま葬儀社へ連絡し、ここまでは順調でした。
父が亡くなったことを葬儀社に電話すると、

と言われます。
準備とは何…?
準備とは何かを正直に確認したところ、頭の中によぎった文字は「えっ!やばい!」だったのです。
葬儀社が病院に来るのは1時間後、さらに病院から自宅までは15分。
時間なんてほとんどない状態です。
ここで、私が葬儀社から用意してほしいと言われたものをお伝えします。
- 真っ白な無地のシーツをかけた敷布団、掛布団
- 「南無阿弥陀仏」の掛け軸
正直、頭の中は真っ白です。
母は父に付き添い、私と姉は自宅へ戻り、準備に取りかかりました。
最悪なことに自宅にあるシーツには、シミがついていました。
さらに、掛け軸が自宅にあるわけがない!
姉が、嫁ぎ先で見た記憶があると言い、慌てて私が姉の嫁ぎ先へ掛け軸を取りに行きます。
その帰り道に新品のシーツを購入し、家に着いたのは父が病院からの到着する5分前…。
大掃除中の姉と私は、あわてて布団にシーツをかけますが、父が到着してしまいます。
布団の準備が、まだできていないことを葬儀社の方に伝え、自宅の前で数分待ってもらうハメになりました。
そもそも、自宅で用意しなければならないモノがあることを知らなかった私たち喪家は、勝手にすべて葬儀社の方で準備してくれると思い込んでいたのです。
すべてを葬儀社の方で用意してもらえると思うのは自由ですが、大きな間違いだったのです。
宗教や地域によって、お葬式の形式は様々です。
お金を払えば、全て葬儀社が用意してくれるのかもしれませんが、事前に葬儀社に以下の3点を確認をしておくと良いです。
メモ
- 迎え入れ先に必要な物
- 葬儀社に用意してもらいたい物
- 喪家で用意できる物
葬儀社によっては、貸出料が取られる場合もあるようです。
「葬式・葬儀の流れと危篤から法要までの葬儀社に求めるニーズ」の記事もご参考に、一般的な流れを知っておくと良いでしょう。
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葬儀・葬式の知識は誰に聞けば良い?
やはり、家族にお別れが迫ってきていると覚悟した場合は、まず葬儀のことよりも、葬儀の前に何が必要になるのかを知ることが大切です。
早々に準備するのは、お別れする時を待っているようで嫌だという気持ちになるかもしれません。
しかし、私はそうした勝手な自分の思いを優先してしまったために、ゆったりと父を自宅へ迎え入れることができませんでした。
そう考えると、早々の準備は、見送る方への感謝の気持ちも含まれていると思います。
では、自宅へ迎え入れる際の知識は誰が持っているのでしょうか。
葬儀の知識を持っている人
- 自分の家のお寺のお坊さん
- 身内、親戚
- 葬儀業者
- 病院の看護婦、介護士
- 葬儀を執り行ったことのある経験者
- ネットで検索
迎え入れの際に自宅で必要だった物
実際に、仮通夜で必要だった物をお伝えします。
- 真っ白な無地のシーツをかけた敷布団、掛布団
- 「南無阿弥陀仏」の掛け軸 (もちろん宗教によって異なります)
- 煎茶
- 湯呑
- 座布団
- おにぎりや漬物などの軽食
- お盆(たくさんの方が来てくださるので、ひとつでは足りません)
- 枕花(葬儀会社でも用意してくれますが、私は自分で花屋に行き作ってもらいました)
「枕花」って何?と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
枕花は、亡くなった方の枕元に飾るお供えのお花のことです。
価格は約2~3万円でした。
花屋さんに依頼したところ30分ほどで作ってくれましたよ。
私の家は地方ということもあり、ご近所の方や父の友人がたくさん自宅へ駆けつけてくださり、不慣れな私たちを支えてくれました。
おにぎりなどもふるまう地域なのですが、それも握ってくれたりと、本当にありがたかったです。
余命を宣告された時、家族が行うこと
私の経験から、家族が事前に行った方が良いと思うこともまとめてみましたので、ご参考にして下さい。
メモ
- 家の宗教の確認しておく。
- 葬儀会社へ事前に必要なものを問い合わせる。
- 万が一の時に、訃報を伝えるリスト(名前、電話番号等)をそろえる。
- 年金手帳、障害者福祉手帳、介護保険受給者証、介護保険証、保険証、免許証、生命保険証書などの保管場所を調べ、一か所に集めておく。
- 自分の実印を準備する。(遺産を相続する権利のある方は実印が必要)
- 葬儀代などの現金を用意しておく。(亡くなると銀行口座が凍結するため)
葬儀会社が役所への手続きなどを代行してくれるので、死亡届と一緒に公的機関から発行されている手帳などは葬儀社の方にお渡しします。
そのため、事前に準備をしておけば、慌てて探す手間が省けます。
葬儀の準備中に、いざ何かを探そうと思っても頭はついていきません。
それが、現実ではないでしょうか。
臨終を迎え入れる心構えのまとめ
葬儀前に必要なものは、思った以上にたくさんあると思え!
悲しみにくれる時間もないまま、本当に慌ただしく時間は過ぎていきます。
近年「終活」という言葉も身近になってきたので、ゆっくり葬儀社を決めて「プロ」に大切な時間をサポートしてもらいましょう。
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場合によっては、すべてがひと段落して、ゆっくりと悲しみが押し寄せてくるかもしれません。それほど喪家はバタバタします。
本当に家族を見送ることができる時間は「わずか」しかありません。
そのわずかなお見送りを滞りなくスムーズに執り行うことが、故人の方への感謝の気持ちを伝えるひとつの方法ではないかと思います。
この私のバタバタ劇が、これから大切な家族を見送る方にとって少しでも参考になればと思います。