カラスは、なぜ頭が良いと言われるのでしょうか。
鳥類の中でも、特別に賢い頭脳を持っているのでしょうか。
賢く知能が高いイメージのカラスの脳の大きさは、他の鳥と比較すると大きいという結果が出ています。
カラスの頭脳
ヒト | 0.89 |
イルカ | 0.64 |
チンパンジー | 0.30 |
カラス | 0.16 |
イヌ | 0.14 |
ネコ | 0.14 |
スズメ | 0.12 |
タカ | 0.09 |
ハト | 0.04 |
ニワトリ | 0.03 |
知能の発達の度合いを示すものの中に「脳化指数」というものがあります。
脳化指数とは、脳の大きさを動物の体全体の大きさと比較し、割合で数値化したものです。
また、脳化指数を比重で表し、脳の重さと脳全体の重さの差が近いほど知能が高いと推測する生物学者もいるようです。
そして、脳内の神経回路のスピードは、ある程度一定であると言われていますので、脳の大きさが大きければ、脳内の神経回路が長くなり、単純にその分伝達に時間がかかると推測する生物学者もいました。
実際にカラスの知能を測ることは難しいですが、脳化指数・比重・神経回路の長さなどが、カラスの知能に何らかの影響を与えている可能性はあるかもしれません。
カラスが人を襲撃する理由
賢いカラスは、人の顔を認識できると言われています。
そのため、カラスに何かをしてしまったら、後日、カラスが仕返しにくると思われがちです。
しかし調べてみると、都市伝説程度の珍しい事例だと考えられています。
カラスからすれば、人間は「天敵」なだけです。その天敵の人間を襲う理由は、限られているようです。
仕返しされたと勘違いする理由として、人が先にカラスの嫌がる行為を行っている場合がありました。
特に多い事例として、カラスが巣の中を見られていると判断した時です。
ビルの屋上やマンションのベランダ付近の木の枝にカラスの巣がある場合、巣を見ていなくても(巣があることを知らなくても)カラスが見られていると思えば「警戒態勢」に入ります。
一度、要注意人物と警戒された人が、再び巣に近づくと、襲われる場合があると報告されています。
また、カラスのヒナが巣立つ頃になると、まだ上手く飛べないヒナが地上にいる場合があります。
必ず近くには親鳥がいますので、近くを通っただけで、警戒され襲われる場合も少なくありません。
カラスのヒナを見つけた場合は、親切心でヒナに近づこうとせずに、素早くその場を離れるよう注意してください。
どちらも4月~7月の繁殖期の敏感な時期に多く見られる事例です。
- 頭上で「ガーガー」鳴き続けている。
- 頭上で旋廻飛行を行っている。
- 頭に向かって低空飛行を行っている。
- 後ろ頭を蹴る。
などは、カラスの「威嚇行為」です。
狙われていると認識して、すぐ建物の中に避難しましょう。
基本、くちばしで突くことはなく、後ろ頭に向かって蹴る行為をすると言われていますが、100%ではありません。
何もしていないのに、急に襲撃を受けたと思っていても、数日前から頭上で旋廻していた可能性もあります。
あなたが分からないうちに、要注意人物として警戒されていたということです。
襲撃を受けたというより、威嚇されているので、威嚇された周辺には、近づかず対処してみて下さい。
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カラスは仕返しをしない
ここまで読んでいただいた方には、カラスは仕返ししないと言われる根拠が伝わったかと思います。
カラスは「仕返し」ではなく「威嚇」をしているのです。
カラスは、本当に賢いの?
最後に、カラスは本当に賢いのか?まとめてみました。
宇都宮大学の杉田昭栄教授は、カラスは簡単な「三段論法」的な知能行動ができると推測しています。
『三段論法』とは、
①A=Bである。
②B=Cである。
③だから、A=Cである。
殻の堅いクルミを食べるのに、車に轢かせて割る行動も『三段論法』の知能ではないでしょうか。
①堅い殻を割ると美味しいクルミが入っている。
②クルミの殻は、車が轢くと割れる。
③だから、美味しいクルミを食べるために走行車両に割ってもらう。
また、鳥類学者の樋口広芳氏は、鳥類の中で、カラスほどバリエーションに富んだ「遊び行動」を見せる鳥はいないと推測しています。
動物でも、サルやチンパンジーなどが同様の行動を見せるくらいで、野生状態では極めて少ないと言っています。
ゴミを荒らすカラスにとって、食料を調達するのは、意図も簡単なことです。
あくせくと生活しておらず、時間に余裕がある、暇があるカラスが遊ぶ姿はたびたび目撃されています。
カラスは人間の生活と、近すぎず遠すぎずの距離で生活していますので、人間の目に留まることも多いのかもしれません。
他の鳥類に比べれば、それなりに賢いとは思いますが、人間ほどに賢いわけではありません。
カラスの迷惑行為に悩んでいる場合でも、人間の頭脳で十分解決できますので「賢い」の言葉に惑わされず、対処したいものです。